自分を活かす考え方

ストレングス・ファインダーで強みを引き出すと世界はこれだけ変わる

ストレングスファインダー

女性の強さはネガティブ要素?

「強い女性だと見られて、引かれてしまったらどうしよう」「強く見られたくない。だから、意見が言えない」。そんなふうに思って、自分の中でモヤモヤをためていませんか?

私がセッションをしてきた中でも、強く見られることをマイナスととらえ、「意見を言うのはやめておこう」「提案したいのにできない、こんなことでいいの?」そうした思いを抱えている方が非常に多くいらっしゃいます。そもそもこの"強さ”とは何か? これものちほど考えていきます。

最初に、なぜ女性の強さをマイナスだととらえてしまうのか紐解いていきましょう。

一つは、会社あるいは社会で強い女性が重宝されているロールモデル、もしくはパワフルで素敵な女性やキラキラしている強い女性が身の回りにあまりいないから。パワフルというのは、男性と同様ということでは全くありません。ここでいうパワフルとは、自分らしさを最大に活かし良い形で表現されているということです。もう一つは、アンコンシャス・バイアス(無意識の思い込みや偏見)です。

女性は強くないほうがいい、女性なんだから柔らかい物腰であるべきだ……。知らず知らずのうちにそう判断し、“女性の強さはネガティブ”としてしまっているのではないでしょうか。しかし、長い時間をかけて培われてきたものでも、アンコンシャス・バイアスは必ず変えられます。

まず、そのバイアスに気づくこと。そして、強さは誰もが持っているものですから、それをいかに自分が認めるか。認めることで、その人にとっての真の強さとなり、自身の強みとして発揮できる強さになっていきます。なぜなら真の強さは力ずくのものでなく、内側から光放たれるように輝くものだからです。

きっかけは、“アンビシャス”発言

私にも、アンコンシャス・バイアスがありました。私の父は、比較的開けた考え方の持ち主で、幼少期には何にでもチャレンジする機会をくれましたが、年を重ねるに連れ、かつ私がへこみそうになると、「女の子なんだから女子大学でいいじゃないか」だとか「女の子なんだから、就職は○○でこんなポジションでいいじゃないか」というようなフレーズがたくさん出てきていて。

それは父として、私にとっていい未来につながると思って言ってくれていたんですよね。でも、父の発言によって、女性はそういうものなんだと思い込んでしまった。さらに、女性は結婚したら仕事を辞める、妊娠して仕事を続けている人の旦那さんはかわいそうなどと言われているような時代でもあって。

私には、父の言葉どおりにやってみたけれども、どこかに「これでいいのかな?」という思いがありました。就職してからも、「妊娠しして仕事を続けていると旦那さんはかわいそうなの?」「どうして?」と思ってはいたものの、その疑問をどこにも出せず、悶々としていたことも。

悶々としながらも、徐々に自分の中で私は私にとっていい生き方を積み上げてきたつもりでしたし、コーチングの事業も始めていましたので、何かしらのものが確立されたと思っていました。

ところが、あるとき海外の知人から「君がそんなにアンビシャスだとは知らなかった」と言われたのです。

知人にとって、これは褒め言葉。アンビシャスはポジティブなワードとして使われているのですが、私は「アンビシャスな私は悪女なのか」というふうに受け止めていて。アンビシャスをネガティブに解釈している自分に驚いたのです。

その後、日本人をはじめ、いろいろな国籍の人と「アンビシャスをどう思う?」という会話をしました。そこでほうぼうから出てきたのは、「アンビシャスはワンダフル!」つまり、素晴らしいという意味。

コーチングを受けながら、知らない間に女性はアンビシャスではないほうがいいといった認識を持っていたことに気づいた結果、私の中でアンビシャスはワンダフルに置き換えられていきました。

自分の中のサインに気づいたときに役立つ第三者とツール

先に述べたように、無意識のバイアスに気づき、自分の強さを認めることでアンコンシャス・バイアスは変えられます。強さは、誰にもあります。ただ、強さを見ようとする機会がなかっただけかもしれません。強さは、”魅力””良さ””誇れる点””自身の中で自然に振る舞え、かつこの強さで上手くいくことが多い”とも言い換えられます。

皆さんの中に、“強い”といったことに対して少しでも抵抗があれば、それは一つのサイン。「私は強いんです」と開き直るのも、ある種の抵抗感かもしれません。ただ、自分で気づいていないものを認めるのは、誰にとってもハードワークです。そんなときには、第三者であるコーチとの対話が役立ちます。

しかし、強さや強みを対話だけで見つけるのは、なかなかチャレンジング。人は、自分の弱みを見つけるのは得意です。でも、自分の長所や強みを見つけることには、抵抗があるもの。

そこで活用したいのが、ストレングス・ファインダー(クリフトンストレングス・テスト)。ストレングス・ファインダーは、自分自身の資質を知り、強みを発見できるツールです。
ストレングス・ファインダー(クリフトンストレングス・テスト)>>

ストレングス・ファインダーが示す資質の活かし方

ストレングス・ファインダーを受けることで、34の資質が、自身が持つ傾向が高い順に示されます。つまり、自分はどんな資質を持っているかがわかるのですが、これだけでは強みにはなりません。

車を所有していて、車庫に入っているとします。あなたは、自分が車を持っている、車庫の中にあることを認識できたら、「乗ってみよう」とか「乗るために免許を取ろう」とか「車であの場所に行ってみよう」とか、活用する方法を考えることができる。認識し、活用を考えることにより、車を使って快適に自分が行きたいときに行きたいところに行けるという強みに変えられる。強みが花開くのです。

私自身がしている資質の活用方法

私もストレングス・ファインダーを受けました。初めて受けたのは約15年前ですが、一番強く出た資質は「個別化」で、「ポジティブ」「責任感」と続きます。

例えば、自分にとって想定外、あるいはヘコむような出来事が起きたとき。その状況をどうとらえたらいいのだろうかというような思考の転換をする際に、このテストの結果が役に立ちました。

というのも、私の中には「未来思考」や「責任感」、「アレンジ」の資質もあって。未来に持っていくための状況のとらえ方、この状況の未来へのつなぎ方、さらに「責任感」と「ポジティブ」を使って、現状から未来設計を現実化へと落としこむ、そんな思考にもっていけたのです。

また「個別化」「共感性」をフル活動して、日々のコーチングセッションで活かしていることも実感しています。

思考の転換という意味では、ネガティブなフィードバックも同じ。ある面から見ればネガティブでも、フィードバックを自分の未来につなげる、自分の望む方向につなげる思考を持つと、フィードバックはネガティブではなくなる可能性があります。

ストレングス・ファインダーの資質が示すもの

資質は、一つひとつが別々に働くのではなく、組み合わせで働くもの。様々に組み合わせれば組み合わせるほど、自分だからこそできる解決や施策になり、確固とした自分の道が作れ、強みとして発揮できるようになります。

ストレングス・ファインダーの診断は、資質の順位だけでなく、詳細なレポートも得られます。このレポートに散りばめられているのは、いろいろな考え方のヒント。

たとえ、一番強く出ている資質が同じだという人が複数人いても、34の資質を組み合わせた上でのレポートですから、それぞれ違うことが書かれている可能性が高く、読めば納得できる。そして、どんなふうに資質を生かせるのか、どんなアクションがいいのか、自分のものとして考えられます。

「学習欲」と「調和性」を活かしたHさんの例

ストレングス・ファインダーを使って、ある企業の一般職の方に長く研修をしていました。研修に参加した方たちは、非常に控えめで謙虚な女性が多く、総合職に比べて研修を受ける機会が少なかった方々。自分の診断を見ても「ピンときません」とか「みんなそうだと思っていました」とか「これって強みなんですか?」とか……。

自分の中では自然にしている、これが当たり前だと思っているものは、実は自然にできることでも当たり前でもありません。それこそがその人ならではの資質、強み。ストレングス・ファインダーで発見した自分の持っている種です。今度は、その種を育てましょう。

さて、研修を受けたの方の中にいらしたHさん。Hさんには、「学習欲」と「調和性」が強く出ていました。その資質を生かし、大学院に行く選択をし、さらに、どんなふうに自分らしく会社に貢献できるかも考えるように。

Hさんは、大学院を卒業後、課長に就任。職種を超えての抜擢を受け入れたHさんですが、アンコンシャス・バイアスが強いと異例の起用を受け入れられず「私なんて無理です」と断る方も多いのです。

Hさんの口からも、研修中何度も「私なんて」という言葉が出ていました。そのバイアスが外れたHさんの課長就任は、私にとってもうれしい出来事でした。

「回復思考」と「責任感」を活かしたJさんの例

Jさんは、新規事業を自分で立ち上げたいと考えているのに、なぜかいつも旗振り役をほかの人に渡してしまってサポーターに回ってしまう。本当は自分が責任者としてやっていかなければならないのに、うまくリーダーシップを発揮できていない感覚があると悩んでいました。

「回復思考」と「責任感」が資質として強く出ていたJさん。「回復思考」が強いと、うまくいっていないことをどうすればうまくいくかといった方向に働きます。そのため、別の方に任せて、その人をサポートして回復させる、うまく補充する。ついそんな視点になってしまうのです。

でも、それがJさんの強み。そうわかったことで、すっきりと納得して最終責任はとりつつ、気持ちよく権限委譲ができるようになりました。

転職だとか起業、副業といったことを考えるときにも役立つのが、ストレングス・ファインダー。転職や起業、副業を始めるとき、まずはなぜ転職したいのか、なぜ起業したいのか、なぜ副業を始めたいのかを突き詰めて考えてください。

この「なぜ」に対し、自分の強みをどんなふうに使えるかを考えると精度の高い転職、起業、副業につながるでしょう。

強みにフォーカスして起こること

私はヨガが好きで、20年以上続けています。ヨガは、全身を使う動きが多いのですが、右利きもいれば左利きもいるのが人間。私の場合、左足は高く上がるけれども、右足があまり上がりませんでした。

そこで私は、右足を高く上げる練習をしようと思いました。ところが、ヨガの先生が教えてくれたことは「一度、左足を上げてごらんなさい。もっともっともっともっと。はい、下げて」。これを繰り返すこと何十回。そのあとに「今度は、右足を上げてごらんなさい」と。それに応じて、右足を上げてみたら……。今までになく高く上がったのです。

衝撃を受けました。練習していたのは左足だったのに。でも、結果的に体がそうなった。人間の体がそんなふうにデザインされているのだとしたら、思考もそうかもしれないと目覚めた瞬間であり、強み発見、強みフォーカスへの気づきでした。

できないことに体や思考を酷使するのは大変。なんでも努力とか、必死に歯を食いしばってここまで頑張りました、みたいなことも多いですよね。でも、少し違った視点で自分と向き合ってあげると、大きなブレイクスルー、大きなトランスフォーメーションが待っている可能性があるのです。

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