やりたいことがない人が自分にとって特別な「何か」を見つけるには

「何かやりたいんですよね。どうやったら何かを決められますか」

こんなふうに、アドバイスを求めて体験セッションを受けに来る方もいらっしゃいます。しかし、残念ながらコーチはアドバイスをしません。コーチがするのは「質問」だからです。

まだ見えていない世界が見つけるきっかけ

人間は質問されると「何かを答えなきゃいけない」と脳が動きますから、質問されることで、答えを考え、新しい視点や気づきが起こり、次のステージへの機会が広がります。質問をきっかけに新しい視点や気づきが生まれるのがコーチングなんです。

コーチングのセッションでアドバイスが欲しい方に何が起きるかというと、考えたことがない質問が来ると、その質問に対して答えようとして「答えるのがつらい」と感じることもあります。そのつらさに目を背ける方が多いですが、実はボーナスポイントです。

答えるのがつらくなるぐらい、自分の中で何も考えていなかったことがはっきりするからです。その痛いところをコーチの質問で深く掘っていくことで、「ご自分の中でやってみたい」「自分の中では見えていないけれども見たい世界があるのかもしれない」と思うきっかけや気づきが生まれてきます。

逆に、とくに何かを強い気持ちでやりたいと思っていた場合は、もともとご自分の中で非常に前向きに何かを切り開いていきたい思いがあります。その思いを動かしていくための、次の一歩が見えてくる可能性があります。

新たな視点を得るための3つの質問

何をやりたいか、その何かをどうやって決めるかを考えるとき、セッションでは3つの問いをします。

何をしたいですか
英語で言うと「WANT」ですよね。何をしたいか。
何をできますか
「CAN」ですね。何ができるか考えるとき、ご自分のキャリアの経歴がこのCANにリンクしている場合もありますし、キャリアとリンクしていなくても、趣味で何かをやってきたとか、昔の経験もCANの中に入ってきます。
何をしなければいけませんか
「MUST」ですね。

たとえば、やりたいことやできることだけ追求して、来月の家賃を払えないとすると、MUSTとしてはある一定金額が収入として入る状態はMUSTとなります。自分にとって何がMUSTなのかを知っておくことが必要になります。

もやもやした状態から次の道を見つけ、実現するには

以前、ワインのライターをしているEさんのお話をしました。

: 「好き」と「継続」を起点に人生の分岐点を自分でつくる

今、何か継続しているものはありますか。何かをやり続けるのは非常に難しいですが、人生全体で考えてみると、続いている何かがどんな方にもありますよね。生き方もそうですし、今起きていることに自分がどう対応す ...

彼女はとにかくワインが大好きで、「ワインのことをもっと日本の人に広めたい」という思いを持っていたことが、最初の「WANT」のきっかけになりました。

その「WANT」をセッションを通じて深掘りしていく中で、「記事を書いてみたい」という「WANT」がどんどん育っていきました。

次に来るのが「CAN」です。Eさんはとにかくワインが大好きですから、知識がたくさんありますし、ワインのことならあらゆることを知っています。ならば、「ワインの記事だったら書けるかもしれない」。それがEさんにとっての「CAN」です。

Eさんにとっての「MUST」は、ワインに関わる場所で仕事を続けることです。Eさんはワインの販売をしていますから、売り場にいることでワインの新しい情報がどんどん入ってきますし、常にワインに触れる機会を得られます。月々の給与も入ってくることも、もちろん「MUST」です。

これらを融合させて、Eさん自身が何をやりたいかをフォーカスして考えた結果、「日本人向けにワインの記事を書く仕事がしたい」という思いでした。その考えに行き着いたとき、Eさんに実現できる確信はまったくありませんでした。

ですが、「WANT」「CAN」「MUST」を言語化できたとき、「やってみようかな」という気持ちが生まれました。次の一歩を踏み出す勇気が出たのです。結果、Eさんは行動に移した結果、ワイン記事を書くライターになりました。今も活躍されています。

会社員の方に起こりやすい「ストップ思考」

一歩踏み出すまでが大変だと感じるかもしれませんが、「WANT」があれば、次に何をするかは割と決まります。

時として、会社員の方には、混乱が起きてしまうかもしれません。「WANT」を考えることをちょっとストップさせてしまうような思考が働きやすいためです。
会社員でいると、会社が「これをやってください」と望んだことに対応することを優先してしまいがちなんです。そのため、自分がしたいことを考えるスイッチを無意識にオフにしている方も多いです。ですから、「もしかして私もそうかも？」と思い当たった場合は、その点を少し解き放していただきたいなと思います。

解き放つために、次の問いに取り組んでみてください。