コンディションが整った状態とは
コーチングを通じて毎日クライアントとお話しする際、ご自身の現状を振り返り、望む方向へ進むために対話を重ねます。「この方のコンディションはとてもいい状態にある」と感じる方の最大の特徴は、「ご自身が平穏でいられること」です。
日頃忙しい方はその逆です。常に慌ただしく動いているので、マインドもビジー、心の状態もビジーという状態のことも。こういう場合、ご自身の状態がよくないことに気づいていませんし、コンディションが崩れている認識もありません。
忙しいからがんばり、次のことも同様にがんばるので、頭の中は忙しく、気も急いているため、気の休まる暇がありません。この状態が「コンディションがいい」と言えないことは、ご理解いただけると思います。
自分でも気づかない不調のサイン
マインドフルネスの視点で言うと、コンディションがよいときは「今この瞬間」に意識が集中できるので、ご自身の能力を100%発揮しやすいです。反対に、コンディションがよくないときは「今この瞬間」に集中できる状態でないばかりか、そもそも「今ここに」いません。別のことに気を取られたり、次の予定が気になって「今この瞬間」に意識を集中できないためです。この状態は不調と言っていいと思います。
不調のサインには、次のようなものがあります。
・過去を後悔したり、悔む
・過去の事象に対して悔しくてたまらない
・人との関係性がよくない
・パフォーマンスが上がらない
・タイムマネジメントがうまくいかない
・未来へ不安が募る
コンディションを整えるには
状況によって対応策は色々ですが、まず調子がよくないと感じたら、「悪い」という事実をまず受け入れ、最大の原因を探してください。例えばクライアントとの関係性がよくないことが最大の原因だと気づいたときは、なぜそのクライアントとの関係性がよくないのか、ご自身にできる改善方法は何かなど、関係性がよくない事実に向きあい、解決する方法を探します。
このとき、ご自分の思考としっかり向き合うことも重要です。
コンディションが悪いとき、頭の中は不毛な対話がループします。いわば頭の中で雨が降っている状態で、物事の原因が自分以外や環境にある思考に陥りやすくなります。「上司がよくないから」「部下がやらないから」「世の中が悪いから」など、自分以外の要因をあげつらっても解決はしません。
大切なのはすべての起点を自分にして、起きたことを見直すことです。「この状況を選択してきたのは誰だっけ?」と。
たとえマーケットの状況、今のメンバーの状況、ひいては今日のお天気のせいと、環境が起因と考えても、その環境に身をおいたのは、ご自分。意図的ではなくても、敢えて選択したという意志がなくても、現実から見たら自分自身”かもしれない”と、『かもしれない』を最後につけて考えてみると考えやすいかもしれません。、
ご自身の選択の結果、今の状態が起こっているはずです。満員電車に乗るのも、上司に苛立つのも、その環境を選んできたのはご自身です。自分で選んだことを認め、受け入れることでしか次は見えてきません。
パフォーマンスがとにかく上がらない場合は、上がらない理由に向きあって考えます。
睡眠時間が足りない、食生活が乱れているなどの体調を支える生活面が原因であれば、睡眠時間を確保するライフスタイルに変えたり、食事がカップラーメンばかりなら納豆とレトルトのごはんに変えるなど。不調の原因と向き合って対策することで、現状は今からでも変えられます。
コンディションを整えただけで人生が変わった人も
ここで言う「コンディションを整えた」状態とは、心の平穏を保ち、今ここに集中でき、すべての起点を自分にして物事と向き合い、考えられる状態です。私のコーチングでは、その状態にご自身をもっていくことを目的にしている方もいます。
ある一般事務職として働く女性、Yさんがいます。出会った当時30代だった彼女は、がんばって働いているものの毎日何かにもやもやしていました。私との対話を重ねる中で、彼女はご自身のコンディションを整えることを目的にしました。優先順位を整理し、生活を見直し、もやもやの原因を探りながら、少しずつ心の状態をよくしていきました。
数年後、Yさんはどうなったと思いますか。
なんと彼女は、誰もが知る外資系企業のCEOに次ぐポジションにまでなったのです。躍進劇はそこで終わらず、のちに他の外資企業に引き抜かれ、やはりその企業のCEOに次ぐポジションで今も活躍しています。
先日は「今も他社からオファーが来るんですけど、書いてある年収の提示金額がすごいんですよ」と笑いながら話していました。コンディションが整ってここまで人生が変わる例としては、とてもわかりやすいと思います。
常に気持ちが急いていたある経営者
もうひとり、コンディションを整えた方のお話をします。
親しい仲間と起業し、激務をこなしてきたベンチャー企業の経営者・Tさんがいます。彼はコロナ禍で会社の経営状況が悪化し、つぶれてしまうかもしれない不安に苛まれていました。激務の中、問題は山盛り。会社で起こるすべてのことが彼にとって重要事項で、気持ちは常に急いていました。
セッションの中でTさんのコンディションがとてもよくないので、まずは落ち着いてもらい、不安の原因を突き止めることから始めました。最も不安なことを探り、不安の正体を言語化していきます。会社の立ち上げからやってきた方ですから、課題を可視化し、優先順位をつけ、具体策を検討し始めれば、あとは実行するだけです。そこまで具体化できれば、不安は解決できるタスク化ができています。
しかし彼の心の穏やかさを失わせていたのは、起業時から一緒にやってきた経営陣の仲間でした。経営状況が悪化して話し合った際、仲間から出てきた対応策は、銀行からの借り入れ提案。融資の話は、赤字を埋めるだけで根本的な解決になりません。Tさんとしては難局を乗り切るアイディアを出し、巻き返しを図る気概への期待も仲間に対してあったわけです。
落ち着きを取り戻したベンチャー経営者の選択
がっかりした彼は、私のところにやってきて言いました。
「一緒にがんばってくれるはずの仲間から出てきた提案は、銀行からの借り入れでした。いい提案ではないですし、問題がありすぎて、どこから手をつけていいのかわかりません」
これまでの経緯で、Tさんは少しずつ落ち着きを取り戻し、現状を冷静に見るコンディションになっていました。ですから、ここでは起こっている物事に対して数字を照らし合わせ、事実を見ることに努めていただきました。
他の経営陣が提案する借り入れをすると、どんなことが予想されるか心を落ち着けて計算しました。その内容を経営陣ひとり一人と話し合いましたが、見ている方向が違いすぎてひどくショックを受けました。
結果、彼は英断し、経営陣に会社を辞めてもらうことにしました。つらい決断になりましたが、現実を数字で見、会社の体制を見直し、具体策を講じて新規事業をスタート。売上は前年比で2倍以上になりました。
ちなみに、Tさんは心配事が多すぎて食事を抜くことが多かったので、玄米を食べていただくことをおすすめしました。「食べてみたら意外とおいしかった」そう。今はレトルトごはんにも玄米があるので、レンジでチンして食べられます。食事が疎かな方にはこんなご提案もしています。
最高の能力を発揮し続けるには
「ご自身が平穏でいられること」が最高の能力を発揮し続ける条件です。あなたは今、どんな状態でしょうか。
頭の中で不毛な会話がぐるぐる続いたり、何かに不安を感じてもやもやするなら、平穏ではないと気づいてください。気づけたら、その原因を突き止めましょう。重要なのは、その原因を自分以外の誰かや環境のせいにせず、ご自身を起点に考えることです。
現状に至る選択をしてきたのはご自身であり、それを変えるのもご自身の選択次第なのです。
平穏でいられるご自身を作るには、自分軸の安定が欠かせません。ご自身の良い点を再確認して自己肯定感を向上させたり、ご自身の“盲点”に気づき、新たな視点を得られるワークショップをトランスフォーム・コーチング ベーシック講座で行っていますので、ぜひご活用ください。詳しくはこちらから。