マインドフルネス

激しい感情を“自分を動かす力”に変えるマインドフルネス

マインドフルネス

激しい感情をもつときはありますか?
あなたはその強いエネルギーをどう使っていますか?

マインドフルネスな自分自身を実現するには

怒りが湧くようなとき、激しい感情の勢いでご自分が望んでいないコミュニケーション不全を起こしてしまうこともあると思います。そんなときは、そのエネルギーを自分が好きなことを夢中になれることや没頭できることに向けるよう働きかけ、マインドフルネスな自分を作れるようご自身に働きかけてみてください。

というのも、人が何かに没頭しているときや夢中になっているときは、心と頭に雑音がないので、まさにマインドフルネスな状態にあります。そのタイミングならではの、最も必要な名案が思い浮かぶ可能性が高まるからです。

激しい怒りが爆発してしまったDさん

ある大企業の子会社の代表をしているDさんという方がいます。彼のミッションは、子会社の代表として会社をさらに成長させることです。

Dさんの会社には営業部門がなく、戦略設計のみを行いながらクライアントへの提案を通じて事業利益を出しています。組織は少数精鋭のメンバーで成り立ち、今後もこのビジネスモデルを強化し、戦略設計だけで売上を立て続けたいと考えていました。

あるとき、本社が中期経営計画を立てるタイミングで、子会社も中期経営計画を立てることになりました。Dさんは、彼のビジョンに沿って引き続き現プランを推進し、そのために必要な人材を得たいと考えています。ですから、中期経営計画を立てるにあたり、その点を盛り込みました。

私はDさんの話に共感しながら聞いていたんですけれども、彼の上司である本社役員は別の意見を持っていました。Dさんの意見に賛同しながらも、「そうは言っても、本社の社長が今聞きたいのはビジョンじゃない。来年の数字なんだよ。長期的な考えは聞いていない」ぐらいの勢い。

「短期の数字ばかり考えていたら、長期的でサステナブルな成長はできません」

穏やかに意見をお伝えしたDさんでしたが、役員からは事業の本質から外れた話と社長の顔色を伺う発言ばかりが続き、怒り心頭です。しかし、そこは大人ですから、Dさんは一旦怒りを収めて、その場を離れました。

抑えられない感情が出てきたときは名案が浮かぶ機会

そんなタイミングでDさんとセッションを行いましたので、Dさんにはこんな質問をしました。

「仕事以外では、どんなことが好きですか? 趣味や没頭できること、今夢中になっていること、どんなことでもいいんです」

Dさんは車が大好きなのだそうです。こういうもどかしさを抱えたときは、真夜中に誰もいない場所をひとりで走ることもあるそう。

「そのときは、どんな体の感覚がありますか?」

Dさんは「まさに没頭して走ってるから、気持ちいい感覚だけがあります」。

これです。

人が何かに没頭しているときや夢中になっているとき、まさにその状態が「マインドフルネスの状態」とも言えます。過去のことを心配したり後悔したり、未来のことを不安に思ったり、それこそ未来のことを思うと怒りや心配も出てくるわけですよね。このままじゃダメだ、みたいな形で。

そうではなくて、そんなときこそ、何かに没頭して“今”に集中できるマインドフルネスな状態をつくることで、心と体が静かになり、静けさのなかに今抱えている問題を解決できる名案が出てくる可能性が出てきます。

Dさんは自分で無意識にマインドフルネスな状態を理解していて、強い感情が起こったときに、車を走らせて頭の中を切り替えていたんですね。そのことをご自分で認識すると、今後は意図的にマインドフルネスな状態を創れるようになります。

意図的にマインドフルネスな状態に自分を置くには

繰り返しになりますが、強い感情や激しい感情が起こったときこそ、自分が好きなこと、夢中になれることに自分を没入させてみてください。あふれるエネルギーを注ぎ込んで好きなことに取り組むと、瞬時にマインドフルネスな状態に自分で自分を切り替えられるようになります。

といったところで、改めて伺います。

あなたが夢中になれることや、何かに没頭しているときはどんなときですか。その最中にあるあなたは、どんな状態ですか。ご自身を観察してみてください。おそらくそれがマインドフルネスな状態にあるあなた自身です。

強い感情を感じたとき、激しいエネルギーで自分が疲れてしまうようなとき、その強いエネルギーを使って好きなことに打ち込み、自分を飛び込ませてみてください。次の打ち手を見つけられるはずです。

たとえすぐに打ち手の案が出てこなくても、ご自分自身が平穏になると、課題に関して違う視点、俯瞰で見ることが可能になります。これが大きなポイントです。

-マインドフルネス